本欄10月22日で報告した愛知刑事弁護塾の外部講師による講義で取り上げられた、「裁判所による不意打ち」により苦杯を喫したうちの一件が、高裁で逆転無罪になり確定した、というお知らせを頂いた。百戦錬磨の刑事弁護人にして「頑張れば、いいこともたまにはある」という感想を抱いたらしいが、至言である。
なお、判決を頂いたが、高裁の判断の書き出しが「原判決の判断は、実質的には、Vには虚偽供述の動機が証拠上見当たらないということだけから、その信用性を肯定する一方で、・・信用性を減殺する事情を過小評価して・・」というものであった。
さりげなく大事な指摘であり、刑事裁判官には、「虚偽供述動機が分からないから信用する」といった悪い意味で無邪気な判決を書かないよう、肝に銘じて貰いたいものだ。
(弁護士 金岡)