「よりそい弁護士」制度(「よりそい弁護士制度とは、罪に問われた人の社会復帰又は再犯防止のために、対象者に対して弁護士による面接相談及び支援活動を行うことを言います。」愛弁HPより)は、幾つかの単位会で先駆けて行われている取り組みである。
個々の無償の好意に依存せず、持続的に然るべき援助を提供できる制度が重要であることは言うまでもない(そういえば、愛弁では、勾留が却下されるなどして在宅の被疑者に対する独自の援助制度も開始されそうな見通しである。最終的には国選制度が必要であろうが、繋ぎとしては是とすべきことである。)。
この関係で、愛知刑事弁護塾に所属する弁護士から、「よりそい弁護士」に言及した裁判例を提供頂いたので、紹介しておく。
「・・・地域生活定着支援センター職員及び社会福祉協議会職員が出廷して被告人の更生を支援する旨約束したほか、弁護人もよりそい弁護士として被告人の更生を支援する旨約束していること・・・執行を猶予するのが相当」(名古屋地判2021年4月27日、西脇真由子裁判官)。
判決後の有り様を真剣に考え、持続的に然るべき援助が必要と判断された場合に、採算性はともかく無償ではない一定の手当てを受けて「ホームロイヤー」を用意する選択肢がある、というのは、ある意味、弁護士も覚悟を問われる。
「反省しているので寛大な刑を」等と陳腐な台詞を表面的に口にするだけの弁護士か。自ら「よりそい弁護士」を買って出る弁護士か。真価が問われよう。もとより、まだの単位会は、そのような選択肢を用意する覚悟を問われることになろう。
(弁護士 金岡)