この6月から、愛弁で「特定在宅被疑者弁護援助事業」が始まるとのことである。
対象者は、①在宅の高齢者・障害者・少年、②弁護活動により釈放されて在宅になった被疑者である。特に②に対する援助事業は全国初ではないかと思われ、公的弁護制度の空白を埋める有益な事業である、と謳われている。

やはり、こういう公的弁護制度の空白を埋める事業は、在野法曹ならではである。全面的に歓迎したい。当番制度が被疑者国選の創設に繋がったように、本制度がゆくゆくは隙間のない公的弁護制度の確立の礎となるだろう。
かの「全件運動」の如く、勾留準抗告の申立や認容に独自の上乗せをすることも、見方によっては公的弁護制度の空白を埋めるものではあるが、これを当たり前の弁護活動と規定するなら、少なくとも申立に上乗せをすることは筋が通るまい(大阪弁護士会は上乗せを恒久制度にしたそうだ)。
これに対し、本制度は、どこからどうみても空白を埋めるものである。そして、①類型のような供述弱者が良いようにやられないよう弁護人が就き、また、②類型のように釈放後も切れ目のない弁護を継続できることは、何れも、正に現代的な弁護課題に向き合うものである。
50件分の年間予算を確保して3年、試行するようだが、是非、財源が枯渇するだけの利用がされることを期待する(広報も重要だろう)。

(弁護士 金岡)