たまたま読んだ資料の数字なので最新の統計ではないが、最高裁によれば、2017年12月1日から2018年11月30日までの概数で、控訴判決後、最高裁に記録が移ってからの保釈申請件数100件、うち認容1件という。
実に認容率1%。この1件が例外中の例外なら、あと2~300件増えても認容1件のままかも知れないとも思わされるくらいの狭き門である。
名古屋高裁刑事部が「どちらも地獄部」と評されていた当時、敢えて最高裁に記録が移るのを待って保釈申し立てする方がましに違いないと思っていたことがあるが、これほどまでに狭き門だとは。。
同じ資料によれば、おそらく東京高裁の数字なのだろうが、控訴判決後の保釈申請件数223件に対し認容176件とあるので(認容率8割となると、「上訴保釈は厳し目に」という昨今の風潮とは大違いである・・僅か数年で激変したかは数字を調べてみる必要がありそうだ)、悪い意味で厳選された事案だけが最高裁で保釈事件として俎上に上がり、片っ端から否定されている、ということなのだろうし、控訴審まで実刑と言うことは最高裁で覆ることはよくよくないから遅かれ早かれ収容されるだろう刑事被告人であることは請け合いとしても、そもそも「結論実刑だから保釈は不許」という発想自体が間違っていることは明らかであり(実刑しかない事案でも保釈が許可されることはままある)、幾ら何でも100件中の1件というのは、無罪推定や人身の自由に忠実な審理が行われているようには思われない。
上訴保釈は厳し目に、という方針変更後は、はたしてどうなっているのか、その点も心配である。
(弁護士 金岡)