保護観察中の依頼者が刑事事件に巻き込まれたと言うことで弁護人に就いていたところ、更生保護法63条1項に基づく出頭要請があったので、立会を求めたところ、すんなりと立ち会うことが出来た。
取消請求ならば弁護士選任が可能であるが、そのような手続きでない場合は特に弁護士の存在は予定されていないと思われ、保護観察所が弁護士法に基づく弁護士代理を尊重している姿勢は何よりのことであった。

さて、冒頭、黙秘権は保障されているか?と質問してみた。
性質上、刑事事件に繋がりやすい場合は準じた黙秘権保障が必要となろうと思われ、事と次第では取消請求にも及びうる本手続きには黙秘権保障が必要だと思われる。
保護観察官は、「相当でない質問を途中で遮って、お話し頂かないと言うことも、差し支えありません」と、回答した。

取調立会制度の制度設計に於いて、「弁護人はどこまで何が出来るか」という命題があると言われている。(1)滞在できるだけか(=監視カメラ的)、(2)求められれば助言できるのか、(3)求められなくても助言できるのか、(4)更に取調官に異議を出す、意見を述べる等ができるのか、概ね、このような段階的な議論である。
立ち会う限りに於いて、異議を出す、意見を述べるところまで出来て当たり前であり、前提誤認の質問や、はては自白強要を黙ってみていろ等という議論は意味不明であり、このような議論を真面目にする気にはなれない。

今回の保護観察所でも、まあ(3)までは当然という認識だったろうか。
なお、実際のところは、依頼者が忘れていた細かな日付をこちらで補ったり、保護観察官に写真資料をお示ししたり、手続きの現状を説明したりと、ごく自然に弁護人として振る舞ったので、(4)までやっていたことになろうか。誰も文句は言わないし、無論、事情聴取の便宜に資したであろう。
立会を経験すればする程、不要論は論外として、(1)(2)から段階的に拡大しようよという意見も、馬鹿馬鹿しく思えるものである。

(弁護士 金岡)