冒頭陳述にも目を光らせ、違法不当な記載があれば異議を申し立てるのは当然である(実践的には検察官の朗読を待たず最後まで速読して速やかに異議の要否を検討することを推奨する)。
先日、約450万円の財産犯について、「犯行に至る経緯」として、それに先立つ約500万円の財産犯に言及された冒頭陳述要旨であったことから、異議を申し立てた。
異議の構成は、(1)有罪立証予定がない「犯罪」を主張することは推定無罪に反しており違法である、(2)経緯の金額まで含めた詳細、具体的な立証の要否は明らかではない、(3)起訴金額すら上回る余罪立証は余罪そのものを処罰する趣旨である合理的疑いがある、としてみた。
異議を受けた検察官は「理解出来ますので撤回します」と。
拍子抜けしたが、それはそれで見上げた見識である。
(冷静に弁えのある対応の出来る検察官は、手強いかもしれない)
それにしても、問題は、裁判官がどうしても読んでしまっていること。
そんなに頻繁には生じない遣り取りだろうから記憶には残りやすいだろうし・・もし裁判所が組織として「あらゆる記憶領域から消す訓練」をされているなら、是非公開して貰いたいものだ。
(弁護士 金岡)