本欄2018年6月5日「被告人席に座る」で、当時の仙台高裁がSBMを認めなかったことを驚きを以て報じた。その当時ですら、そうそう記憶にないことだったのだ。

因縁の盛岡事件では、差し戻し前の地裁・高裁、差し戻し後の地裁と、相変わらずSBMで揉め続け、被告人席に座って旗幟鮮明にして漸く裁判所が折れるという展開が繰り返されたが、本日の差し戻し後の高裁(深沢茂之裁判長)では、書記官が「被告人の方はこちらに座ると言うことですね」と、予め話が通っていたようで、揉めることもなく依頼者が隣に座った。
おそらくは、記録を検討する中で、SBMを巡って揉め続けてきた経過を踏まえ、仙台高裁が予め判断していたのだろうとは思う。実に常識的な判断である。

尤も、「被告人の方はこちらに座ると言うことですね」という書記官の対応に若干、引っかかりを覚えたのも事実である。つまり「こちらに座らない事案」があるんだろうな、と察せられたからである。
意識改革を地道に迫るのも弁護人の役割である。

(弁護士 金岡)