特に代用「監獄」たる警察署の留置案件で、一般面会がなかなか出来ないという苦情を依頼者側から聞くことがままある。
経験上、午前の早い時間帯に予約しなければ面会出来ないという程度ならまだましで、署によっては前日までに要予約としているとか、週3回までという回数制限がされていたりもする。確か日弁連の人権救済案件だったかと思うが、刑事施設側の言い分として「平等の必要性」つまり、全被収容者が一斉に一般面会を申し立てても平等に対応出来るようにしておくために、一人一人に面会枠を(計算上で)割り当ててしまう結果、何日かおきに15分しか認められないみたいな不合理な計算結果に陥ってしまうと聞いた気がするが、無論まともな考え方ではない。
・・という話を持ち出したのは、某署の案件で、(弁護人選任関係の契約内容調整のために)依頼者の配偶者に面会を急ぐように言ったところ、「最短でも10日先まで面会枠が取れない」と返答されて困ったからである。
いくら何でも10日先まで、一般面会枠(一人15分で運用しているから、仮に面会室が一つしかないとしても、午前12枠、午後16枠は用意出来る計算である)が全部埋まっていることは無いだろうと留置管理と掛け合った結果、「弁護人が同席するなら、事情が事情だけに、柔軟に対応する」ということで、私の方で面会予約をして一般面会するということで妥結した。
しかし、である。私が平日日中の時間をぱっと予約出来るのだから、その時点で面会枠が空いていたことは明らかである(前日時点で丸々2時間は空いていたという確証がある)。面会枠が空いているなら、「ここどうぞ」と案内して然るべきだろうところ、「最短でも10日先」は幾ら何でもひどい。裁量逸脱とかいう次元ですら無い。
全部を早い者勝ちにするようなことは相当ではないかもしれない(因みに上記署では、同時に複数枠を予約することは認めていないとのこと)。今回のような急を要する案件もあることから面会枠を少し取り置くくらいは裁量の範囲内かも知れないが、「今日、今から面会したいのだけど」という電話があった時に、遊ばせている枠があるなら、それを案内しないのは違法だろうと考える。
先に紹介したような管理主義的発想に立ったとしても、元を正せば面会機会確保のための管理主義なのであり、それが結果的に真逆にも、面会枠が空いていても会わせない、形式主義の弊に堕していることがおかしいことくらい、誰も考えつかないのだろうか。
ただ、某大手MLでも話題となっていたが、弁護士が余り首を突っ込まない分野だけに、法治の網から盛大にこぼれている、という見方も出来る(時折、一般面会体験をして、文句を付ける弁護士はいるが)。
依頼者側の不満を汲み取って、きちんと対処して、変えていかねばと思う。
(弁護士 金岡)