昨今報道されている、「『ここは開き直る場所ではない』反省見られぬ女に裁判官が“一喝”」の記事を読んだ感想である。福岡地裁小倉支部の裁判官、というところまでしか分からないのが残念だ。
詳細は分からないが、要するに基準値以上のアルコールを体内に保有した状態で運転し、人を負傷させた、という事件である。
公訴事実を認めた被告人が、「前日酒を飲み過ぎたが残っていない。いつも通りに出勤し不注意で事故を起こした」などと供述したため、裁判官が、「ここは開き直る場所ではない」と一喝する場面もあった、とされている。
基準値以上のアルコールを体内に保有した状態で運転することは犯罪だが、情状には軽重があるのだから、それが事故原因に影響したかどうかは立派な争点であろう。被告人が飲酒の影響はなかったと主張するなら、事故原因を謙虚に審理し、認定するのが当然の職責であり、(記事中では即日結審の事案とされているから)まともに証拠も読んでいない状態で「開き直るな」と決め付ける裁判官は、飲酒が事故原因に影響したと決め付けている、碌な存在ではない(返す返す実名を記載できないのが残念である)。
こういう場合、弁護人がきちんと異議を出し、咎めてなんぼなのだが、残念ながらそうできる弁護士は、ごく少数だろう。
(弁護士 金岡)