本稿は、本欄2024年2月6日「大阪府(大阪府警)を提訴」の経過報告である。

前回記事記載の通り、「他の住人がオートロックを解除したのに乗じて侵入」た大阪府警所属の警察官が、マンション内を徘徊したり原告宅のインターフォンを連打したりを数時間にわたりやらかした、という事案である。

さて件名については、被告大阪府の2024年6月13日付け準備書面のことである。
同書面では、原告の主張に種々の反論がされた上で曰く、「マンション共用部分に入館許可無く立ち入ることが直ちに違法となるものではない」という。

警察がそれを言うの?という思いである。
葛飾マンション事件最高裁判決の共産党ビラ等配布の事案は、オートロックのないマンションであったが、普通に扉を開けて共用部分に立ち入りビラ配布したことが、軽微とはいえない法益侵害である等として犯罪と扱われている(確か住民が現行犯逮捕し、その後、適法に満期勾留されたはずだ)。
ましてや、本件は、オートロックにより守られ、外来者の立ち入りは、共用部分と言えど、許可を得て内部から開けて貰うしかない仕様である。

それなのに、「マンション共用部分に入館許可無く立ち入ることが直ちに違法となるものではない」という。
今後、大阪府警は、マンション共用部分への無断立入りで通報があっても「直ちに違法ではありませんから出動出来ません」というのだろうか。そんな犯罪を奨励する如きことで良いのだろうか。

勿論これは真面目に心配しているわけではなく(彼ら大阪府警は、自分たちに都合良く人を犯罪者扱いしてどんどん逮捕するだろう)、皮肉である。
国賠訴訟ともなれば、臆面も無く、普段と正反対の主張をしてでも、牽強付会な強弁を繰り出してでも、賠償責任を逃れようとする。それが、この国の公権力の実態である。惨めであり、つくづく醜い。

(弁護士 金岡)