先日の金曜日。
勾留裁判が予想されるが諸事情により意見書は出さず、そうすると夕方には勾留決定がされるだろうと踏んで勾留状謄本の申請を出すも、一向に決定がされず。
結局18時過ぎに勾留決定の電話があった(名古屋地裁本庁)。

「勾留状謄本の受渡方法」を問われたところで、生憎21時30分くらいまで会議が入っていたので、その旨を説明すると「22時でも夜間受付は空いていますよ」と。
「そちらの都合で遅くなっているのに深夜22時まで動き回れと?流石にファクス交付して下さい」という問答になり、先方が上の判断を仰ぐ云々となり、結局、担当書記官が「今回に限り、私の判断においてファクス送付します」ということで、無事、ファクスで勾留状写しが届いた。

とまあ、これだけのことである。
週末にかかる金曜夜に勾留状謄本を受領しに出向くことが困難である場合に、早期に被疑事実や勾留事由を把握し必要な弁護活動に着手するためには、ファクス送付が必要相当であることは明らかだろう。
何度も書いているが、遥かに機密性の高い文書でもファクス送付されているし、法テラスの被疑者国選配点では勾留状写しが添付されたファクスが送信されていると承知している。「今回に限り書記官の判断で!」などと勿体ぶらなくても、これが当たり前の制度として定着して何の問題もなかろう(金曜夜だろうが月曜朝だろうが問題ないはずだ)。

少し違う話だが、この直後、別の公務所照会を申し立てていた案件で、「事件被害者」の生年月日や会員番号がまるごと記載された裁判所の案文がファクスで届き、「意見があれば2週間以内に」という添え書きがあった。
緊急性の欠片もない(2週間も!)個人情報満載の公務所照会案をファクスできるのに、勾留状だけやたらと抵抗するのは何故なんだろうと思わされる(そういう制度がない、というなら、公務所照会案文をファクス送付する明文上の制度もない)。手続の本質を見れば、早期に確実に被疑事実等を把握させることが本旨なのだから、ファクス送付に理があることは明らかである。

(弁護士 金岡)