珍しく期日も接見も順調に片付き、時間がとれたので、件名の会員懇談会に出席した。会員懇談会は、程度差こそあれ、弁護士制度全体の歪みを考える契機となる。余裕がある限り出たいとは思うものだ(ということで、余り偉そうには言えないが、殆ど出席者がいなかったのには驚かされた。目算20名弱、しかも大半が理事者経験者という有様で、私より期が下の弁護士は数名いたかいないか・・。)。

さて、依頼者見舞金制度は、依頼者・準依頼者が弁護士による横領被害に遭った場合に、見舞金を出す制度である。
一部不祥事を起こす弁護士のために会費が増額される(或いは積み立てた会費が使われてしまう)こと自体は、まあ、許容範囲だとして、「見舞金」制度とする余り、あちらこちらに制度的な粗さが目につく代物であった。

・ 横領加害を認定するにあたり、対象弁護士への調査が必要的ではない。
抵抗されると見舞うのが遅くなる、不利益処分ではない、あたりが理由らしいが、規定によれば横領加害者として名指しの公告もあり得るようだ。適正手続を保障せず、社会の晒し者にするのは、立派な不利益処分だと思うが。

・ 対象弁護士への求償を行わない。
資力があることが明らかな場合は見舞金を出さないから、見舞金を出すと言うことは求償が実効的でないと言うことだと言うが、子どもでも首を傾げる論理だろう。資力があることが明らかと言えないとしても、回収が実効的に行われることはナンボでもある。これも、実のところ、対象弁護士への求償請求が、逆にねじ伏せられてややこしい事態に陥るのを避けるため、なのだろう。

一部のために全体のお金を使うには、それなりの合理性が必要であるはずだが、風あたりが強い御時世、取りあえず阿っておけという臭いが強くする。
各論的に、賛成しかねるものである。

(弁護士 金岡)