岩波ブックレット「兵器と大学 なぜ軍事研究をしてはならないか」
岩波書店「ヒトラーと物理学者たち」

前者は簡潔にまとめられており、非常に読みやすい。その分、反対説はあくまで論者の目を通してしか語られないので、少々、議論の深まりには物足りなさがある。
主題からは逸れるが、同書で感銘を受けたのは、非核宣言や平和宣言を出している大学の努力である。例えば名大の平和憲章を広げる取り組みとして、入学者に配布したり、毎年記念イベントを開催しているなどということは(一時、教鞭を執りながら)全く知らなかった(不明を恥じるほかない)。
そういうことが知れるだけでも読む価値はあった。

後者は、分厚く資料も手広いので読み込むのは無理だったが、前者で危惧されているようなことは既に通ってきた道だと言うことを確認できる。取り込まれてから抵抗するなど夢物語、取り込まれないようにするしかないということだ。

(弁護士 金岡)