現在の実務では、取調べの録音録画に際しては、冒頭でこれを告げる。告げないまま録音録画することは、秘密録音に相当し、刑事手続的には違法の疑いが強いからであろう。
実際的にも、録音録画の有無により弁護人の助言する方針が変化する場合もあり、このような実務があることを念頭に置いた対応が必要になる。
近時、名古屋地検の取り調べで、取調べの途中で「言い忘れたけど、録音録画しているから」と告げられる、という事態に遭遇した。
依頼者から報告を受け、早速検察庁に苦情を申し出て調査を要求したところ、間違いなくそのような結果として違法な取調べが行われていたことが判明し、然るべき部署からの謝罪を受けた。
曰く、今後は冒頭告知を徹底させる、とのことである。
(弁護士 金岡)