第2回「季刊刑事弁護新人賞授賞式記念講演」を依頼され、お題は自由に選べそうだったので「捜査の初動」を選んだ(なお、季刊刑事弁護新人賞自体は既に16回目くらいを数える。「第2回」なのは記念講演の方だ。)。
「捜査の初動」は、まさに十年一昔の言葉どおり、10年前と大きく様変わりし、深まり、やればやるほど成果を上げ得る領域となった。当事者主義にはほど遠いとしても、その萌芽は見えていようし、今後も益々、当事者主義の要請が高まるだろう。
戯れに10年前の作った捜査弁護研修レジュメを見ると、特に
・黙秘権の扱い
・在宅段階における弁護人介入の工夫
・証拠保全、供述保全
の三点で段違いであった(「身柄からの解放」は、否認事件ですら連戦連勝していた当時も、今に通じるくらいの分量は割いてあった)。
後二者は「初動」問題そのものであるし、一点目は普遍的な話題である。
長足の進化を遂げているが、それでもまだまだである。
先は長いと改めて感じた。
先は長くとも、「新人賞」に力作が集まり、記念講演を若手弁護士がそれなりに傍聴(3年目までの弁護士が4割弱)するところをみると、元気な分野である。
(弁護士 金岡)