短期留学中の外国籍少年が刑事事件を起こしたとされる事案を扱った。
刑事制裁が予定される場合を除くと、日本に定着する予定が無いので、帰国前提で処遇を考えることになるのだが、「日本語を学びません」「日本で暮らす予定もありません」という少年を、どこまで家裁手続に乗せる意味があるのだろうか。
そもそも鑑別所は外国語に対応できるのだろうか。また、日本で暮らす予定が無い少年を少年院は処遇できるのか(少年院でもG2分類と称して日本語教育や日本社会への定着訓練を導入しているとは聞くが、日本で暮らす予定が無い少年のための更生プログラムは流石に存在しないだろう)。無理矢理そういった手続に乗せるより、必要に応じ、本国で然るべき手続に乗せる方が良いのではないか。
弁護団員の1名が、この問題を経験済みであったらしく、「送致事実に争いがなく、また事案簡明であれば、外国国籍の少年の事件については観護措置を採ることもなく若しくは少なくとも相当早期に、本国への帰国を認める扱いがされる事案があった」らしいということが判明した。
送致事実に争いがあったらダメなのか?とは思うので、その点はさておくとしても、考えの方向性は分かるので弁護方針に取り込んだところ、家裁送致後、帰国便が取れ次第の帰国が認められた。勿論、親御さんの真摯な関わりがあってこそのことで、どこまで一般化できるかはさておかざるを得ないが、なるほど少年目線で考えれば、落ち着くところに落ち着くものだと思った。良い勉強になった。
(弁護士 金岡)