弁護人として拘置所の依頼者に差し入れた封書の添付資料が、依頼者に届いていないと苦情を言われたので、調べてみると、「接見禁止中なので第三者名義の手紙は交付できない」ということだった。
勿論、弁護人からの信書の添付資料を「検査」し剰え差し止めることは秘密交通権侵害であり、国賠提訴することになるが、そのことは別の機会に取り上げるとして、このような信書発受の差し止めは、差入れの権利を有する弁護人側にとっての不利益処分でもあるところ、にもかかわらず通知されないという問題もある。
依頼者が、差し入れられるはずだと知らない場合に、差し入れた側の弁護人も差し止めを知らないと、どちらも事態に気付かないままということになりかねない。
行手法の基本則において、侵害処分には適正手続条項があるも、拘置所は適用除外である。しかし、拘置所と被収容者との関係性において、あらゆることを行手法の基本則どおりに手続保障をして回ることがどうかには議論があるとしても(もとより、このような特別権力関係的な発想には全く与できないが、最高裁が特別権力関係説に回帰している雰囲気も漂うし、議論はあるだろう。議論は。)、拘置所と、外部者との関係性において、行手法の基本則を排除する根拠はどこにもない。
適正手続条項で縛らないから、自らの権利侵害を知らないままに放置されるという運用が罷り通るわけで、法の不備であろう。
(弁護士 金岡)