珍しく家事調停の話題。

10日に送達された婚姻費用請求に基づく婚姻費用の起算日について、名古屋家裁の調停官曰く「月頭から起算するのが家裁実務」と。
不明にして聞いたことがなく、「31日に届いても月頭から起算するのか」と聞くと「その通り」と。「翌1日に届いた場合と比べて整合性がとれないのでは」と聞くと「そういうものだから」と宣う。

私は、「普通」とか「そういうものだから」と言われるのを嫌う。苟も法律家たるもの、まずは自分の頭で考えるべきだし、筋が通らないなら疑いを持つべきだろう。「普通」とか「そういうものだから」に阿るなら、自動販売機でも代わりに置いておけば事足りよう。
金額にすればせいぜい1/3月分の話だが、大もめして、なんとか日割り計算に落着した。

その後、識者に意見を聞き、文献も調べたが、法曹会から出ている実務書に、原則調停申立日を起算点とするが「内容証明郵便等で請求日が明らかな場合などは請求日からとする例もある」と書かれていた程度で、前記のような計算方法が実務だとしているものは探し出せていない。
しょうがないので家裁に根拠を示すよう求めたが、黙殺されている。
全く度しがたい。

実務家はどうしても「実務」だの「普通」だのに流されやすいので、常々、自戒して、ことにあたらなければらない。

(弁護士 金岡)