先日27日、本欄にて、「下を見ればきりがない」との標題で、板津裁判長らの準抗告審合議体の判断を批判した。
(他にも色々あるが、それは置いておいて、)相被疑者の勾留延長が「金曜までやむを得ない」とされた一方、こちらの被疑者の勾留延長は「翌月曜までやむを得ない」とされたことが常軌を逸していると批判したものである。

くだんの相被疑者の勾留延長満期の金曜日、同被疑者は釈放され、こちらの被疑者も釈放された。釈放劇は午前のことであり、ということは、不起訴裁定の決裁は前日木曜日に行われていたこと請け合いである。
(勾留延長自体が明らかに違法であるが、それは置いておいて、)本来木曜日で足りるものを、剰え相被疑者について「事案の真相を解明」するには金曜日までで足りるとしたものを、こちらの被疑者の勾留が翌月曜日まで「やむを得ない」としたことは、歴史が誤判と証明したことになろう。

このように指摘しても、裁判官は、「判断時においては10日でやむを得ないと判断したことに不合理さはない」とか、「その後の捜査が上手く行ったので釈放が早まったに過ぎない」等と言い訳して、間違いを認めたりはしないだろう。
そして強固な国賠理論に守られている彼らは、「悪気はなかった」と言っておきさえすれば、過剰勾留の責任を問われることもなく、それどころか早々の釈放劇があったこと自体も知らないまま、ぬくぬくと、今後も過剰勾留を繰り返していくに相違ない。

それでは被害の量産が止まない。
また、裁判官にも立ち直りの機会は与える必要があろう。

そこで、今回、3名の裁判官に対しては、以下の書簡を送ることとした。
せめても、更生のとば口に立つ縁となることを祈念する。

(弁護士 金岡)

【書簡抜粋、一部改変】

3.次に、相被疑者に関し、「事案の真相」解明が金曜日までに行われると判断をする一方で、同一事件の当被疑者については翌月曜日までを要するという常軌を逸した判断を行ったことについて、猛省を求めます。相被疑者について「事案の真相」が解明された後、当被疑者に対し、一体、更にどのような捜査が必要で、その捜査を予め金曜日までに行えないことについてどのような事情があると考えられたのか、今一度、御自身の判断を虚心に見つめ直されるべきです。
当被疑者は、前記の通り、貴官らの「やむを得ない」翌月曜日を待たず3日も前に釈放されました(金曜日午前の釈放ということは、不起訴の決裁は、遅くとも、その前日には行われていたと認められます)。結果論からみても、貴官らの判断が誤判であったことは明らかですが、このことを「結果論」と片付ける限り、貴官らに進歩はなく、今後、貴官らが裁判官の職にあり続ける限り、本件同様、過剰勾留の被害者が量産されることを憂慮します。
実際には7日(精緻に言えば6日)で十分であったのに、何故、10日も必要で「やむを得ない」との誤判をなしたのか、御自身の事実認定能力、法解釈、人権感覚が危機的状況にあると、認識されるべきです。とりわけ、捜査機関の言いなりに「やむを得ない」と判断してしまっていないか、また、土日を徹して捜査が続くなどと言う幻想に踊らされていないか、十分に自戒されるべきです。

4.今回、相当明確な形で誤判が明らかになっています。
過剰勾留は、言うまでもなく、例え一日であっても重大な人権侵害です。これを機に、自身の執務に真剣に疑問を抱き、更生の道を歩まれるよう、願います。そうでなければ、令状主義は益々機能不全に陥り、司法制度への信頼が更に損なわれることになります。
以上