久々に中弁連刑事経験交流集会に参加した(基調講演+パネリストとして参加)。
講師を頼まれるといっても、ウェブで御願いしますといわれると、本音では余り、引き受けたくないものだが、今回、富山県弁護士会には御無理を言い、会場参加20名程度、ウェブ参加50名規模となった。講演する側としては「有人研修」であれば張り合いがあり、有り難かった。
内容は、富山地決2020年5月30日(実質逮捕が先行した違法があり、死体遺棄罪の勾留請求が却下された後、関連する殺人罪で逮捕した上でされた勾留請求が却下された事案の検察官準抗告棄却決定)を契機として、高輪グリーンマンション事件のような、警察官の送迎付き連日の「任意」取調べに対抗するための弁護実践、とでも集約できようか。捜査段階における余りの武器非対等、裁判所が真っ当な感覚を持たない限り捜査機関の「やったもの勝ち」が残りかねない危険、取調への弁護人立会を導入すれば一挙解決に至ること等が議論された。
高輪グリーンマンション事件や、前記富山地決の事案は、そう多くはないが絶無でもない。また、弁護人不在を良いことに恣に「任意」取調べが連日、続く案件はそれなりに見受けられるところである。何十年と、改まらない捜査機関の横暴に対しては、然るべき弁護実践と、更なる理論的な克服が求められると改めて痛感した。
(弁護士 金岡)