年で区切る合理性もないのだが、年が改まってからを起算点としても、この3ヶ月、妙に身体拘束に係る事件が活況である。
拘束前なら速やかに手を打つ必要がある。
勾留前後なら1~2日で形にする必要がある。
起訴直後なら1日も早く保釈を。
そんなことばかりやっていると、予定がどんどん狂いだすのも宜なるかなであるが、身体拘束の必要性相当性は極限まで厳しく審理させなければならないのだから、弁護人が緩むようでは始まらない。
受任した時期に違いはあるが、
1.勾留却下→P準抗告棄却
2.勾留却下→P準抗告棄却
3.勾留準抗告棄却→延長準抗告棄却→保釈→P準抗告棄却
4.勾留準抗告棄却→延長準抗告棄却→不起訴
5.保釈→P準抗告棄却
6.保釈→P準抗告棄却
7.勾留準抗告棄却→延長準抗告棄却→保釈却下→B準抗告棄却→保釈→P準抗告棄却
8.勾留却下
9.勾留準抗告棄却→延長準抗告棄却→保釈却下→B準抗告認容(昨日)
おそらく、ここ3ヶ月の身柄裁判は、こんなところである。
原裁判が釈放を命じた場合に限れば、7件中6件で検察官が不服を申し立てている(幸いにして逆転されたものは一つもなかった)。3ヶ月で6件=2週間に1度の割合でこういうことをやっていては、それは振り回されるわけだ。
そして、延長準抗告の認容率の悪さ(というかゼロである)。「やむを得ない事由」がなければ延長できない筈の原則はどこへやら。百発百中で「やむを得ない」のだから恐れ入る(当初勾留のみで起訴される事案があるのは知っているが、こと、うちの扱い案件でそういうのは皆無である)。長年、いわれていることではあるが、刑訴法は全件延長主義に書き換えられてしまっている。
せめて短縮くらいは・・と思うも、「土・日・月が延長最終日」なら前の週末までは短縮される、という例の考え方が定着したためか、妙に、木曜日、金曜日の当初勾留事案が多い気がする。一度、通常逮捕事案に限って、勾留請求の曜日を統計的に見てみたいものだ。
(弁護士 金岡)