一部報道の通り、「知人」への覚醒剤無償譲渡事案について、名古屋高裁刑事第2部(鹿野裁判長)は、「知人が男性から譲り受けた物が覚醒剤と証明されていない」として原審岐阜地判(出口裁判長)を破棄し無罪判決を言い渡した。
先日の義務付け一部認容に続き、成果を伴うのは良いことだ。

この事案については、副次的に学んだことも多く、また、言いたいことも沢山あるが、それは別の機会に譲るとして一言だけ言うと、一審から担当し、上記争点に関し控訴審で新たな主張立証はないに等しかった。要は、何故一審が有罪判決を書けたのかが不思議でしょうがないという事案であった。それは、高裁判決が「・・・合理的疑いも残ることになるのは、原判決の説示からも当然の帰結である」と指摘しているところからも分かるものだ。
そういう類の誤判により、更に数日も収容された(本欄本年1月19日付け参照)被告人、その境遇に心を痛めた家族、ついでに仕事とは言え保釈裁判に忙殺された弁護人・・取り返しがつかないとはこのことである。

(弁護士 金岡)