3日後に二度目の取調べ、という段階の在宅被疑者弁護を引き受けた。
早速、警察に受任を通知し、取調べに同行するのでと、日程再調整を申し入れる。
と、翌日「依頼者に」電話が入る。曰く「決めた以上、一人で来い」「(警察が依頼者本人に指示済みの資料を)弁護人が提出しても受け取らない」等々。
ふざけるな、と抗議文を送るも無視。
更に日程調整を要望するも無視。
依頼者が「きちんと」出頭しなかったことで、漸く、こちらに連絡が来た。依頼者に心労を強いたことは申し訳なく思うところである。

こういう、前時代的というか、ヤミ金まがいというか、被疑者は言いなりになって当然くらいにしか心得ない警察官が、未だ、ごろごろしているのが現状である(驚くことに検察官にもまだ、そういう手合いがいる。おそらく憲法、刑訴法を半分くらいしか読んだことがないのだろう。)。
依頼者と弁護人がきちんと連携して切り崩されないようにする、というのは、案外容易でないことだが、よくよく考えると、そういう切り崩し工作を警戒しなければならないというのが、おかしい。
こういう切り崩し工作が笑い話になる日が必ず来るとは思うが、それまでの防御権侵害、とりわけ不出来な弁護士込みで生じる防御権侵害は、どのように償われるのだろうか、と思いたくもなる。

さて件名だが、札幌弁護士会が、国選私選を問わず(だと思われる)、取調べへの立会及び準立会(「取調べ場所での立会を要求した上、当該取調べの開始から終了まで取調べ場所のある施設内において直ちに被疑者と打合せをすることができる態勢で待機した場合」)の弁護活動に対し経済支援(前者に一回一律2万円、後者に同1万円、上限10万円)を行う制度創設を目指している、という(報道もされたし、裏付けも得た)。

自白強要にせよ、糾問にせよ、弁護人との切り崩しにせよ、面前では出来ない捜査機関は、取調べ立会をほぼ全て拒否してくる(国会答弁では捜査機関の裁量であって禁じられているわけではないと説明されているが、では裁量的に認めた事例は?となると、「(検察庁の場合だが)知らない」、となるから、有名無実な裁量である)。
「準立会」は、それに代えて、依頼者とすぐに対面相談が可能な場所で待機することである。私の場合の工夫は「一律、一義的な基準で」休憩時間を確保することである。「依頼者の申出により」とすると、「まだ大丈夫と言っています」みたいな、嘘か本当か分からない、また、真意かどうかも分からない、切り崩し工作に遭うこと必至である。定期報告を受け、適宜、助言すれば、不自由なりに不自由なりの弁護は出来る。

15年近く、こういうことをやっているので、(例の準抗告に報酬を出す出さないの議論と同じく)当たり前の水準にある、と言いたいところではあるが、まだまだ世の中はそこまで来ていないかもしれない。
経済支援も含めて、こういうやり方がある、もっと実効的に守れる、ということを宣伝し、広めていくのは大事なことだろう。

(弁護士 金岡)