精神的な問題を抱えた在宅被疑者の弁護案件。

どうしても取調室に「自分の椅子」を持ち込みたいと言うことで警察と交渉。
警察は主治医にお伺いを立て、最終的に持ち込めた。

更に立会人である。
弁護人の立会は、最早、端から相手にされない感がある。
こちらも実を取る必要があるので配偶者の立ち会いを求め、警察は再び主治医にお伺いを立て、最終的に配偶者が立ち会った。

それにしても、ここまでの事案でも、都度都度、主治医の意見を聞き、なんとかこちらの要望をはねつけようという魂胆が見え見えである。

そして、守り手という意味でも、守秘義務という点でも、配偶者に優るであろう弁護人が立ち会えないことはどういうことだろうか。立会の趣旨を考えれば、必要性の観点で弁護人に軍配が挙がり、相当性の点でも弁護人に軍配が挙がる。椅子や配偶者を持ち込めて、弁護人を持ち込めないという法もないだろう。
結局、口を出されたくない、密室で好き放題に優位を保ちたい、それしかないということである(今更に言うまでもないが、連中にとってはそれが「弊害」なのだろう)。
実に浅ましく、さもしい。

(弁護士 金岡)