受任した段階で既に作成済みの調書があったが、これが押しつけ的・不適切なものだったとして、作成し直す方向になった案件がある。
私はここから割り込み、このような経過がある以上、同席は当然だとして平行線を辿った挙げ句、こちらから「作り直したい調書を事前に弁護人が確認できるなら」作成すること(には)応じると提案し、警察も乗り気になった。
ところが、検察にお伺いを立てると、そのようなやり方は容認しないと横槍が入り、結局、お流れになった。
別に調書を作って頂く必要はこれっぽっちもないので(不適切な調書で勝負するんだなと、いわば凄まれたが、謹んで抗議文を提出した)、流れたからどうこう言うわけではないが、こういう面子だけの横槍には感心しない。
調書原案を弁護人が事前に確認する、というのは、署名押印を決断する前提となる実効的援助としては、ごく自然な発想であろう。被疑者が内容を知悉するなら(知悉しないなら署名押印の前提を欠く)弁護人が内容を知っても何らの弊害もない。外部に出すとなると別かも知れないが、弁護人が警察署に足を運んで読む分にはそういった問題も伴わない。自然にして不可欠、弊害もないとなると、拒む理由は無いはずで、現にそのような取扱いをした事例もある。
もし、本当に、被疑者の言い分を証拠化して手続に反映させることが必要だと考えているなら、どうして弁護人の手続援助を排撃しようとするのか。
結局、口とは裏腹に、意のままに支配したいだけだと言うことが良く分かる一幕であり、究極の所、取調べ立会問題も同じところで止まったままである。
(弁護士 金岡)