季刊刑弁97号で違法捜査を争う特集が組まれた折、主として尋問までのところで、証拠収集等を巡る弁護対応を論じる一文を掲載頂いた。
今回、近時の主立った裁判例を特集する第2弾が組まれたが、その流れか、弁護実践の観点から各事例を解説し、今後に生きるだろう教訓の引き出しを試みる一文を掲載頂いた。
違法を超えて排除に至る分岐点がどこにあるのかは、理論的な探究もさることながら、裁判所の勘所という意味で言えば更に不明瞭である(個人的には、著しく令状主義の精神に反しなければ証拠として許容するという枠組み自体が、令状主義の精神に著しく反していると思うところである)。無罪の7事例を並べて検討すると言うことは、なかなか得がたい経験であるが、結局の所、その勘所は分からない。分からないが、分からない以上は徹底してやるべきことをやることが最低条件なのだろう。
なお、この108号では、科学的証拠の許容性に関する論考(高野論文等)、また、被収容者の防御権についての論考(福島論文)も収録されている。何れも近時の関心に沿い、興味深く拝読できるものであり、(本当は隅々まで目を通すべきではあるのだが)このあたりも、お勧めできる。和解期日の待ち時間についつい読了したが、(今時まだこういう検察官対応が根絶していないのかと驚かされた)裁定請求を巡る宇野論文、実務に役立つ論文紹介で紹介されている辛島論文あたりも、挙げておこう。
(弁護士 金岡)