被収容者との一般面会にも色々あるが、今回、取り上げるのは、検察側証人への接触、それも接見等禁止の場合、である。
検察側証人が未決拘禁者であり、接見等禁止の場合、「なろうとする者」の濫用は論外であるから、正面から一部解除申請を経て、裁判所の許可を得るしかない。
当然、検察からの横やりは想定される。
ある事案で職権発動に対し準抗告までされた。
どんな刑訴法81条該当性が主張されたのやらと興味があったが・・。
①本申出は、要するに証人テストをしたいというものであり、被疑者(=被収容者)の事情ではなく、被疑者の不利益になることはあっても有利になることはない。
②申立人弁護士(=金岡)が意図しなくても、その質問に影響を受けて、被疑者が虚偽供述を開始してしまうなどする可能性が高い。
③相手方弁護士(=金岡)からの接触に対し被疑者が不安に陥っており、取り調べにも支障を来している。
④このような面会を捜査活動等を制限してまで認める必要性はなく、捜査終了を待ってから判断しても良いはずである。
というようなものであった。
公益の代表者、に、「(笑)」をつけて語りたくなるのも宜なるかなである。言うことに事欠いて、この程度で原決定を違法だと難詰するとは。
そもそも刑訴法81条に照らし、解除状態が原則なのだから、主張の中心は刑訴法81条の要件論であるべき筈だが、それらしい言及は僅かに②のみである。意図せぬきっかけが生じることは抽象的には有り得るとしても、「可能性が高い」と言われては的外れも良いところではあるが。
③④は、全く傲慢な姿勢である。接見等禁止は、捜査活動を波風立たぬよう、恣に進めるための方便ではないはずだ。なんだかんだ煩わしいから接見等禁止をしておきたい、なにかあるとうっとうしいから接見等禁止をしておきたい、という検察の思惑があることを、裁判所は知っておくと良いだろう。裁判所の役割は、いうまでもないが、具体的な蓋然性それも勾留だけでは足りない具体的な蓋然性を厳しく審理することに尽きる。
戻って①は、これを第一に書くと言うことはこれを重視したのだろうか、しかし意味が分からない。未決拘禁者の利益にならない面会は禁止しておきましょう?それは公益の代表者のいうことではないだろう。未決拘禁者の利益にならない面会を禁止するなら、その一番手は取調官になる筈だし。
とまあ、内容的に見ると実に下らないものである。
裁判所が準抗告を棄却したのは当然のことと思う。
なお、横やりがあることは予想されたので、お守りとして、担当弁護人の同席をこちらから一部解除条件として裁判所に呈示していた。担当弁護人が「その質問はちょっと」と言える環境があれば、当該被疑者も安心して面会に臨めるだろうと思われたからだ。あと、一般面会状況を保全するには、担当弁護人にいてもらう方が有り難い、というのもあるにはある。
このような条件を裁判所が採用したと言うことは、それなりに響いたと言うことだろうか。
(弁護士 金岡)