実況見分調書の真正立証のための警察官証人について、検察官に証言予定事項の開示を請求したところ、なんと、僅か24文字の証言予定事項「開示」が届いた。
曰く、「甲○○号証の作成名義の真正」「甲○○号証の記載の真正」とのみ記載。
未だにこんな証言予定事項開示があるのか・・と驚かされた(ちょうど10年くらい前に、「じゃあどんな証言予定を書けというのか、見本を寄越せ」と逆ギレされたことはあったが)。研修所や検察庁は、基礎教育として、証言予定事項開示の何たるかを教えないのだろうか。
本欄ではおなじみの言い回しだが、名古屋高判の表現を借りれば「具体的な証言予定を知り得る保障」であり、これは憲法上の反対尋問権を実効あらしめるための手続保障の具体的一場面であるから、憲法31条、憲法37条に支えられた、弁護活動の生命線とも言うべき制度である。
仮に属人的なことだとしても、この検察官の担当事件で、全てこのような証言予定事項の開示(という名の立証趣旨の説明?)がされて、弁護人が満足しているとすれば、恐ろしい話である。今まで糺される機会がなく来ているとすれば、それは弁護人側にも責任の一端があることになる。
(弁護士 金岡)