北海道新聞、お見事というところである。
北海道新聞本日付けによると、札幌弁護士会が会として取調への弁護人同席を認めるよう申し入れたところ、北海道警察は、これを認めないとする通達を作成し、組織として弁護人排除に動いたことが判明したという。
昨年12月24日に札幌弁護士会が申し入れを行った実に3日後、北海道警察は「道本刑第3489号」の通達を発出した。その内容は次の通りである。
1(1)ア:弁護人立会の申し出については、認めないこと。
1(1)イ:警察施設内での弁護人の待機については目的を正確に把握すること。接見等を目的とする待機であるなら、「取調べ室近くにおける待機は認めないこと」(カギ括弧は本欄において付した)。
なお、御丁寧に、柱書において、「今後、他の弁護士会でも同様の活動が展開される可能性もあることから参考とされたい」と書かれている。
国会の政府答弁でも取調官裁量であり、事案毎に適切に判断されていると嘯かれていたが(尤も実務家からすれば「嘯く」というよりは「嘘付く」が正しいと思う)、取調官裁量説を前提としても、事案によっては裁量がゼロ収縮して立会を義務的に認めるべき場合は有り得よう。
従って、一律認めるなと言う北海道警察の通達は、刑訴法や犯罪捜査規範が、少なくとも事案次第では立会を義務的に認めるべき場合を否定していないにもかかわらず、そのような個別具体的な検討を「するな」「仮に義務的に認めるべき場合でも刑訴法、犯罪捜査規範を無視せよ」と命じたことになる。
捜査機関が法律や内部規範を無視することに驚きはないが、こうもあからさまにやってくるとなると、正気を疑わざるを得ない。
違法行為を慫慂する警察組織に、どのような適正手続が期待できるというのか、考えるだけでも馬鹿馬鹿しくなる。
(弁護士 金岡)