この秋から年末にかけて、整理手続研修を4件、引き受けている。
中には初めて研修に伺う単位会もあり、こちらとしても楽しみである。
整理手続研修のレジュメは、もう随分と、秘伝のたれ宜しく継ぎ足し継ぎ足して完成度を高めているが(口幅ったい言い方になるが、現状、「整理手続を習得するならこの一冊」とお勧めできる実務書はないと思う)、そろそろ時間を見つけて大幅に改訂したいものだと思っている。
証拠収集の進化はまだまだ続いているし、そろそろ「認否はしない!」みたいな超基本から脱却して、反対尋問の設計と有機的に連関させる技術の習得に向けた研修を行ってみたいものだ。
・・とはいえ、おそらく整理手続を未だに特別なものと感じている層には、やはり整理手続の危険さを伝えることが最優先なのかもしれない。
つい先日も、某支部の裁判官から「なぜ認否しない。それくらい認否したって良いでしょう。」と食い下がられ、「まだこんな遺物が」と、甚だ驚いたところである。「それくらい認否してもしょうがないでしょ」と軽くいなしたが、その後の期日でもしつこく絡んでくるところを見ると、あの剣幕に押されてしまう弁護人も多いのではないかと想像されるところである。
もう一つ、この裁判官は「年度内に判決にするには予定主張を出してもらわないと困る」等という間の抜けたことも仰っていた。「期日のために裁判があるのではなく、裁判のために期日があるのですよ」と諭したが、お冠だったのだろう、最後の方は無言で裁判官室に引き上げて行かれた。
整理手続創設時の議論を含めた、理屈の勘所を押さえていれば、この手の手合いに引っかかってしまうことはなくなると思うが、我が物顔で間違った手続運営をするところを現認すると、まだまだそうした研修の需要もあると言うことだろう、と思わざるを得ない。
(弁護士 金岡)