保釈請求に関し検察に行われる求意見が、ファクスで行われている。求意見手続書面だけではなく、そこに保釈請求書一式が、疎明資料も含め丸ごと、添付されている。
検察官の意見書を弁護人にファクスすることは、ほぼ全面的に拒否されている。苦労して一部の心ある裁判体(土日をサボったりせず迅速に手続を進めようとする裁判体)に応じて貰うのが精一杯だ。
拒否する口実には、個人情報満載の手続書類を安易にファクスできない、ということが言われていた筈だ。
しかし実際には、個人情報満載の、裁判申立書類そのものである保釈請求書一式が、疎明資料も含めて丸ごとファクスされているのであり、いかに裁判所の説明が空疎か、ということが露呈したと言えるだろう。
上記の事実関係は、謄写記録から判明した。
検察が求意見に回答する意見書の表紙は、裁判所から届けられた求意見手続書面が用いられているが、その求意見手続書面に、裁判所から検察庁への送信履歴が印字されており、しかも(1/27)みたいに書かれていたのである。
つまり裁判所は、求意見に際して、1枚ものの求意見手続書面に加え、26頁もの何かしらの書類を添えてファクスしたということになる。26頁もの何かしらといえば、保釈請求書一式しか考えられないということになる。
弁護人に対しては、頑なに、求意見をファクスすることを拒むが、検察には、保釈請求書一式を気前よくファクスする。この不公平さは言うまでもないだろう。
判検交流とか、行政部の部長が法務省の訟務担当に出向するとか、検察官より検察官らしい裁判官の存在とか、そういった病理現象と、根っこは同じに感じる。おかしいと思う感覚すら抱けない程に、裁判所と検察の距離は近く、便宜に取りはからうことも当たり前だと言うことである。
なお、私は、保釈請求書一式を丸ごとファクスすることの是非については、確かに人為的な誤送信をゼロにすることはできないから非常に難しい問題ではあるが、保釈裁判を迅速に進める上では合理的工夫だと思っている方だ。
だから、弁護人にも同じように、検察の意見書くらいファクスしろよ、と思うのだ。支部の案件ともなれば、意見書を謄写するにも数日がかりであり、それを待っていては保釈裁判はいつまで経っても進まない。リダイヤル方式など、慎重に慎重を期して、瞬時にお届けする方法を、検察だけの便宜にはせず、弁護人にも同様に対処して欲しいと求めることが、十数年、一歩進んで二歩下がる状態なのはどうしてか、と思うのである。ましてや民訴では、チームズやウェブエックスで裁判所と弁護士のメールアドレスが繋がる時代である。ファクスどころか、特定のメールアドレスへお届けする、で良いだろうに。
(弁護士 金岡)