本日件名の通り、ETCパーソナルカード暴排条項に対し、提訴した。
国交省ロードマップに於いて、高速道路IC全線スマートIC化が進められる中で、暴力団関係者からETCカードを取り上げ、高速道路利用から排除することの違憲違法を問う訴訟になる。例えば高速道路は、大規模災害に対する速やかな避難路であったりするが、暴力団関係者だけを締め出すというのは、理不尽であろう。
高度の公共インフラにおける暴排条項の違憲違法は、それなりに意識的に論じられているものの、個別性が強いため、こうやって個々的に対抗していくしかない。
ところで、この案件はもともと、暴力団関係者であることを秘してETCパーソナルカードの交付を受けたことが詐欺罪だとして、逮捕勾留された刑事事件が不起訴となり、担当弁護人から民事案件として持ち込まれてきたものである。
私個人は「ゴルフ場詐欺事件」に思い入れがあるが、この種の、業務上不本意な取引を詐欺罪に直結させて「弾圧」する取り組みには、法治国家にあるまじき法の濫用と言わざるを得ないとの感想を持つ。古くは、通帳カード詐欺、搭乗券詐欺、ゴルフ場詐欺、と来て、最近では、ETCパーソナルカード、お祭りの露天・・くだんの弁護人によれば、スーパーのポイントカードを作ったことが詐欺だという逮捕事案まであるそうだが、やり過ぎというか、馬鹿げている。
所属する団体の属性や、来し方行く末の違いで、人権保障に差があってはならない。そのこと自体に異論はないはずであり、この種の事案の、弁護士層の受け皿が限られ(限られているから、うちに持ち込まれるわけである)、受け皿が限られるが故に被害者が司法救済を求める声を上げづらくなる、という悪循環共々、上記のような行きすぎを抑止することが、弁護士の職責であろう。
(弁護士 金岡)