各種報道によると、この7月、仙台地検による再審請求が二件、続いたという。
検察庁による再審請求など、ごく稀であろう(司法統計をちらっと検索したが、検察庁による請求数での統計があるかは分からなかった)。関心をそそられるのは当然である。

報道によれば、1件は、交通事故被害者が実は故意にぶつけにきた(いわゆる保険金請求目的の当たり屋)と判明したことによるもののようである。
とすると、元被告人の認否はどうだったのだろうか。
当初より自分に非があると思い込んでいた、ということもあろうが、最初は「不可抗力だ」と主張していたが、徐々に「説得」されて略式罰金に同意した、というようなことも想定されるだろう。
仮に後者だとすれば、歴とした不祥事であり、捨て置けまい。地元の刑事弁護委員会に所属する弁護士を起用する等して、第三者委員会を立ち上げ、無罪の人を有罪に説得する「手口」を白日の下に晒し、取り締まっていく営みが求められよう。

もう1件は、複数の薬物事犯のうちの1件で犯人性がないと判明したことによるもののようである。
刑事公判での認否は報道では不明であるが、否認していたことも大いに考えられよう。その場合、(保釈時期などにも興味があるが)何故、裁判所は誤判に至ったかを、同様に外部の目を入れて検証するべきである。勿論、弁護活動が不活発だった、ということがあるかもしれないから、とにかく虚心に、外部の目を入れ、あってはならない事態の原因を検証すべきである。

良く言われることであるが、とにかく裁判所は、最も、誤判原因を検証しようとしない組織である。裁判官の独立は誤判原因の検証を拒む道具ではないのであり、妨げとはならない筈だが、それが口吻として用いられている感がある。
誤判は、裁判所における不祥事でも最たるものである。一般企業の不祥事に対する第三者委員会の設置と同程度以上に、検証に晒されなければ、冤罪が繰り返されるだけである。少しでも冤罪を減らしたいなら、こういう無罪に争いが無い(だろう)事案からでも、手を着けてはどうかと思う(無罪に争いが無い事案は、前提でも揉めることもなく誤判原因に特化した検証が出来るから、うってつけである)。
仙台弁護士会には、是非、声を上げて頂きたいと思う。

(弁護士 金岡)