よくあることだが、包括的な黙秘権行使に対し「どんどん不利になる」「誰が得をするんだ」「そろそろ辛くなってきたのではないか」などと、違憲違法な取調べを性懲りも無く警察官が行っている(と、被疑者から具体的迫真性のある報告がされている)。

所属の愛知県警本部に対し抗議し調査を求めると「取調官はそのような言動を否定している」と、にべもない。
被疑者が嘘をついているのか(何の得にもならないと思うが・・検察官のおきまりの尋問事項であれば「被疑者が嘘をつく理由に心当たりはありますか?」という奴である)、取調官が嘘をついているのか、旧態依然たる水掛け論である。

けちがついた以上、交代させろと求めても拒否。
可視化により監視するか?と聞いても、しないという。
無策か?と聞くと、立ち会いの警察官に監視させると。
同じ穴の狢に監視させて何の役に立つのだろうか。実に馬鹿馬鹿しい。

先日、本欄「日本の刑事司法の後進性について」において、イギリスの下級審裁判所にすら、日本の刑事司法の後進性が知れ渡り(日本政府が説得的な反論反証を行えなかった)、「抑圧的な取調べテクニック」「取調べへの弁護人立会並びにビデオ録画がなされないこと」が最低基準にすら達しないものとして切って捨てられたことを紹介したが、まあ、依然として最低基準以下の取り調べを平然と続けているのには恐れ入る。

真面目に職務をしている人も大勢いる中で恐縮ではあるが、一部の捜査機関が、違憲違法な取調べ、黙秘権侵害、冤罪製造機と化していることは否定しようもない(おまけに証拠の廃棄やドラレコの改ざんまで・・)し、客観的な監視をとにかく嫌い、嘘でも何でも見立てを譲らない性向は、法律が介入しない限りどうにもならないだろうと思う。とにかく現場の弁護人は問題意識を持って対峙するしかないのである。

(弁護士 金岡)