費用補償請求として、請求人及び弁護人の旅費日当という費目がある。
無罪判決の後は、記録を閲覧して期日調書を確認し、期日出頭回数を間違いなく積算すると二度手間にならなくて良い。
さて、現在直面しているのが、「打合せ期日」出頭に対する旅費日当である。
係属中の費用補償請求事件の検察官意見を謄写したところ、主立った条文解説系の書籍に於いて、「打合せ期日」は刑訴法188条の6「公判準備及び公判期日に出頭するに要した」に含まれないとされている、との指摘がされていた(確かに、この指摘は事実を指摘している)。
「打合せ期日」が実質整理手続のように活用され出したのは、ここ10年かとは思うが、その間の費用補償請求において、このような指摘を受けた記憶はなく・・決定文でも「打合せ期日」分を排斥された記憶もない(但し決定文は、かなり丼勘定で出されることが多いため、案外、「打合せ期日」分をしれっと排斥されていたのに気付かなかっただけということもあるのかもしれないが)。
今回このような指摘を受けたので、(1)打合せ期日は、限りなく、整理手続期日を含む公判準備期日と同質。(2)打合せ期日なるものが多用されるのは、専ら裁判所の都合。といったことを指摘して(「専ら」は少し言い過ぎたかも知れない)、「打合せ期日」を除外する基礎がなく、文理からも準用可能と主張してみたが、さてどうなるか。
整理手続と「打合せ期日」とでやっていることは全く異ならないので、こういう詰まらないことを指摘して冤罪被害者への補償額を削ろうという営みは実にさもしいものである。
もし、「打合せ期日」では費用補償の対象にしませんよ、ということになると、特に遠隔地の裁判では、結構な額の旅費日当を削られるので、かなりの痛手になる。依頼者から「整理手続期日にしておけば全額補償されたのに」と文句が出かねない。
この論点に決着が付くまでの間、無罪主張の事件は、費用補償を期して、全件、「公判準備及び公判期日」に拘らなければならない、のかもしれない。通常事件だと、殆ど公判期日しか選択の余地がなくなるが、それでよいのだろうか。
(弁護士 金岡)