珍しく民事の話題。割と件数をこなしている感のある、不貞行為に基づく慰謝料訴訟について、不貞された側Aが、その配偶者Bとの婚姻関係を維持したまま、不貞相手であるCだけを相手取った慰謝料請求をすることがある。この場合、BCは共同不法行為の関係であるから、連帯してAに賠償する義務があるが、Cだけが200万円なら200万円の被害全額を支払わされ(これはA→Cの請求としては適法である)、後からBから取り返すというのは、AとBが家計上一体にある限り、二度手間であるし、Cとしても感情的に割り切れないところがあるだろう。
こういう場合に、二度手間にならないような一括した解決が出来るかについては、配偶者のような経済的な一体性がある間柄の者の過失を被害者側の過失とした最高裁法理の援用が可能かどうかなどあれこれ考えてみて、あまり先例がかちっとある分野でもないかなと言う印象であるが、この程、どうあっても不貞された側Aが三者の話し合いに応じないためにこじれた事案で、A→Cの訴訟にC→Bの訴訟を併合して同時的に処理するという方法を試してみた。適法に係属し、一気に三者和解にまで漕ぎ着けたことは何よりであった。
(参考までに請求の趣旨の立て方)被告:B 原告:C 被害者妻:A
被告は、原告に対し、原告が、別紙債権目録記載の債権につき金員の支払いを命じる確定判決に基づき【被害者妻】に対し上記金員の全額又は上記金員の2割を超える額の支払をしたときは、支払った額から上記金員の2割に相当する額を控除した金員を支払え