準抗告等の申立に一々、原本を要求するのはやめるべきだという弁護士会側からの指摘がされて久しい(本欄でも2021年12月15日付けでこれを指摘する北海道弁連声明を取り上げる等している)。
今般、保釈中の依頼者が急に入院し、そのことを夜(一泊目)に把握した。二泊目の日に入院許可を得ないと無許可外泊(二泊以上)になってしまうが、裁判所は遠隔地のT地裁ということで、二泊目の日に申立書原本を届けることは難しい、という情勢である。
申立書をファクスして状況を説明することにより、申立書原本が届く前に入院許可を得ることが出来た。
勿論これは、講学的には職権発動の促しに過ぎず、準抗告等の申立とは性質が異なると言われればそれまでである。
しかし、仮に認容されれば検察官の準抗告等が可能になる事柄の性質上、近場の裁判所であれば原本提出がなければ判断されなかったに相違ない(・・そういえば先日、名古屋高裁刑事第1部から、「補充意見書の原本を持参しなければ保釈事件の判断に進めない」と言われ、げんなりした)。
そう考えると、「その気になれば出来るんでしょ」という話である。北海道弁連あたりも、とりあえず接見禁止等の一部解除のような、職権発動案件から、ファクス申立を定着させていけば、被疑者被告人の置かれた状況が少しは改善しよう。
(弁護士 金岡)