性懲りも無く、非対象の身柄事件のSBS(弁護人の隣に着席できるようにする)、腰縄手錠問題(少なくとも傍聴席に晒されないようにする)を試みているが、名古屋地・高裁は天の岩戸の如き一枚岩、けんもほろろである。
試みられる事案がそう多くないので、今回は名古屋地裁刑事第1部、平手コート単独で試したが、円滑な進行管理上のなんやかんやで、何れも一蹴された。
折から夏休みだからか傍聴席は満席(被告人の親族が席を確保できなかったほど)で、司法修習生も何名もいた。
いま正に弁護人席の前に座っている被告人を、ちょいと弁護人の隣に移ってもらうことにどんな進行管理を妨げる要素があるのか?高知地裁が克服している要素を名古屋地裁が克服できない理由があるのか?という問いかけを黙殺。
傍聴人を退席させてから腰縄手錠を装着するのではダメなのか?という問いかけも黙殺(そういえば、身柄事件の公判期日終了後、そのまま被告人も残留して法廷で打合せ期日を行ったことがあるが、勿論、わざわざ腰縄手錠を装着することなく、非公開になるのでと傍聴人を追い出していたなぁと思い出した。)。
明らかに説明できない公権力の横暴が、最終的には「黙して語らず」押し切っておしまい、という醜い一幕が、せめて傍聴人や司法修習生の記憶に残れば良いなぁと思う。とにかく、やらなければ、裁判官と同じ穴の狢、同罪と心得てやるしかない。
ところで、こういった試みに対し職権不発動⇒異議申立⇒検察官に求意見、は、手続法上当然であるが、大方の検察官は「異議には理由がない」と述べる。
しかし今回の検察官は「特に意見はありません」と述べていた。
穿った見方をすれば、検察官として敢えて反対する理由もないので、「異議に理由がない」とまで言わなかった・・のだろうか?そうであるなら、「検察官としても隣に着席して差し支えないと思いますが」くらい言って欲しかったと思うが。
(弁護士 金岡)