代用留置施設には貸し机があること、しかしその存在は入所者に説明されず、大方の弁護士も知らないため、活用実態は極めて低調であると疑われること。
これらのことは本欄で数度、取り上げたかと思う。

今回は愛知県警、中村警察署の場合である。

依頼者が腰を痛めているので、少しでも楽な姿勢をと、机を借りるよう助言する。
その際「ないと嘘をつかれる可能性があるので、粘るように」と助言。

案の定、留置管理は「ない」と回答したそうだが、依頼者が粘ると「探したらあった」と態度を変えたとのことである。相変わらずの嘘つき集団である。

ところが更に問題が。
今度は「1日1回10分限り」と言い出したそうである。
「ない」もの扱いされている貸し机に、「1日1回10分限り」の取扱要領が制定されているなどということは、ありそうにもないことである。恣意的に人権を蹂躙することにかけては随分と頭の回転が速いようだ。
貸し机は例えば、地べたで手紙を書くという事態を避ける上で有用であるし、室内で糧食をとるにも地べたに食べ物を置くなどというのは望ましいことではない。社会では当たり前のことであり、それを出来なくするだけの合理的根拠があるとは到底、思われない。

確かにホテルの備品などでも、数には限りがあるだろうから、貸し出しは早い者順とか、譲り合って使用すべき場合はあるだろう。しかし、入所者に伏せられ、「ない」というあからさまな嘘をついてまで利用妨害されている程度の貸し机である。直ちに申込みが殺到して捌ききれないと言うことはないだろうし、数に限りがあって(収容人員の上限分だけ用意することに難しさがあるとは思われないが)どうしてもという時は、時間制限を発動するなりすれば良いだけだろう。
他の誰もが使っていないのに「1日1回10分限り」・・阿呆らしい、思う。

(弁護士 金岡)