本当は、年末に駆け込みで行われた検察庁の証拠開示を巡る醜態ぶりについて報告しようと思ったのだが、それどころではない事態が発生したので、先にこちらを記事にする。
【1】
12月26日に受任し、夕方から3時間くらいかけて被告人の配偶者らと打合せ、疎明資料(家族間LINEの分析などにはそれなりに労力を要する)を準備し、翌27日(つまり今日)も朝から留置場で2時間近く本人と打合せ、更に3時間かけ、13時30分ころ保釈請求書を完成させて提出した。
なにしろ今日27日をもって年末進行に切り替わるから、保釈の判断を得るには最速で準備するしかないと割り切って、他の仕事を差し置いての大急ぎの作業であった。
これに対し、担当、津島享子裁判官は「検察庁の意見の戻りは1月6日以降になるので、判断もそれ以降に」と回答を寄越した。
予期されない事態ではなかったので事前に進行意見を出し、「検察官には本日中に意見提出することを厳守させて頂きたい」少なくとも「28日の意見書提出、あるいは、土日は検察官が意見を提出しないという奇妙な慣行を前提としても30日には意見書が提出されるべきであり、それを過ぎても提出しない場合は検察官意見はないものとして進めれば足りる」等と要望していた(なお、前任が一度、保釈を却下されているので、検察庁からすれば「既に具体的に検討済みの事案」なのである)が、まるでゼロ回答であった。
このようにして、津島享子裁判官は、12月27日に係属した保釈裁判を1月6日まで放置することを宣言したのである。
10日の放置宣言は、私の知る限り、最長不倒である。
(因みに、12月28日に「1月4日送り」を宣言されるも、抗議すると覆り、12月29日に判断されたことを、本欄2017年12月29日にて報告している。・・私は、歳歳年年、同じことをやっているが、裁判所は7年を経て確実に劣化している。)
【2】
さて、津島享子裁判官に対しては、①例えば12月30日までと意見の期限を設け、そこまでに検察官が意見を提出しないのであれば判断に進むという訴訟指揮は検討しないのか、②仮に1月6日まで放置するとすればその正当性はどのように説明するのか、③以上について弁護人に直接説明して頂きたい、と伝えたが、横尾書記官を通じて、「この事件は記録も検討した上で、検察官の意見を踏まえ、判断したい」という回答が届いた。
うん、なにも答えてないよね、ということで、横尾書記官には気の毒だが、再度、①②③について回答を貰ってきて欲しいと求めたが、横尾書記官によると、津島享子裁判官は(壊れたテープレコーダー宜しく)「この事件は記録も検討した上で、検察官の意見を踏まえ、判断したい」としか繰り返さなかったそうである。
それは結構だが、それを1月6日まで放置する理由はなんですか(もっと早くできるでしょ)、と聞いているのだが、と食い下がっても、壊れたテープレコーダーは壊れたテープレコーダーのままであった。完全に故障していると言わざるを得ない。
【3】
1月6日まで放置するという、迅速な裁判を行う責務を放棄した非人道的判断(被告人には未成年の子どもがおり、親の釈放を待ちわびている)をしたのは、最終的には全て津島享子裁判官の責任であるが、意見を戻そうとしない検察庁もどうかしている、ということで、検察庁にも抗議しようと考えた。
そこで津島享子裁判官(という名の横尾書記官)に担当検察官の名前を聞いたところ「分からない」という。
意見を1月6日まで戻さないと決めた検察官の名前が分からない??ということで遣り取りをしていると、要するに「事件管理が検察官の意向を確認してそういったのだろう」という話である。
伝言ゲームで保釈裁判を10日も放置する、責任の所在も説明できない。
・・こいつらの人権感覚は腐っているな、とつくづく思う。
【4】
更に、保釈事件の審理を10日も放置して恥じず、且つ、壊れたテープレコーダー宜しく質問にもまともに回答できない津島享子裁判官に対し、「例えば被告人の子どもが事故に遭って大変だから至急判断を求める」といった、保釈裁判に資する連絡をとりたい場合の電話番号を聞いたところ、横尾書記官曰く、「庁として、電話番号は公開しない」という(まあ知ってます)。
庁としてどうだろうと、津島享子裁判官という独立裁判官の訴訟指揮に委ねられる問題(弁護人と意思疎通を密にしたいかどうかは裁判の独立の問題である)だろうと指摘したが、結論、「津島享子裁判官の意向は確認せず、庁として非公開」とのことであった。
なお、検察庁は当然、裁判所と24時間、繋がる電話連絡手段がある。捕まえる方との連絡は密にするが、うるさく釈放を求める側には「書類を出しに来い」。これが裁判所の人権感覚である。
【5】
ついでに小話を1つ。
「書類を出しに来い」というなら、出した書類はいつ見て貰えるのか、1月6日までの10日間、責任を持って事件を放置する(日本語としてはおかしい)津島享子裁判官にすぐに渡して貰えるのか、と聞いた。
これに対する横尾書記官の回答は「令状裁判の担当部署に提出されると、その時その時で別の裁判官が、緊急性などを判断して対応する」というものであった。
津島享子裁判官から配点替えになることもあるの??と聞くと、「そうです」とのことで、そうすると、運が良ければ1月6日まで放置しない裁判官に配点替えして貰えることもあるということになる。
意味の分からない執務体制だとつくづく思った。
【6】
ともかく、新年最初の仕事は決まったようなものである。
毎日、抗議文を出して翻意を促し、前例に反して本当に10日、放置されたら国賠を起こす。
当然だろう。
真の被害者は勿論、依頼者だが、保釈請求権は私にもある。
私の最善を尽くす弁護権を侵害した、その罪は重い。
(弁護士 金岡)