昨年12月27日、28日と、憤懣やる方ない思いで、津島享子裁判官、岩田澄江裁判官による保釈放置問題を取り上げた。
これが年内保釈に漕ぎ着けたので、以下、報告しておこう。

【1】
12月28日、担当検察官が判明したので、夜になったが早急に意見を出すよう書面を送付した。
すると29日16時30分ころ、裁判所から電話があり、「検察官から意見が出た」とのことであった。27日の津島享子裁判官は黙して語らず、28日の岩田澄江裁判官は提出督促しなかったというのだから、上記書面を受けた検察庁の自主判断になるのだろうか。あるいは29日に配点替えされた「第3の裁判官」が督促したのだろうか?
ともあれ、直ちに「ファクスで」(これも大事なところ)受領し(不相当却下意見)、18時ころ補充書面を出し終えた。裁判所は19時「明日判断する」とのことで、まあ準抗告まで考えると翌日一気呵成に片付けるのも理解は出来るので引き下がった。

そして30日、13時30分ころ保釈許可となり(坂本好司裁判官)、検察官準抗告もなく(2024年を通して準抗告されなかったのは二度目かと思う)依頼者は釈放された。

【2】
27日・金曜午後の保釈請求で、30日・月曜日中に許可になる、というのは、身体拘束が例外的にしか許容されないことを思えば、まだ温く、やろうと思えば28日・土曜日に許可できたろうとは思うが、今の裁判所では通常進行というところだろう。違いがあるとすれば検察官意見が月曜ではなく29日・日曜に出ていることか。数多の金曜請求事案で月曜まで待たされるが、今後は是非、日曜・・いや、日曜でも出せるなら、土曜だろうとやれるに相違ない。

【3】
ところで、愛知刑事弁護塾の参加者からは、2年前の事案で、年末釈放されている事例が複数、提供された。12月29日に検察準抗告棄却の釈放事案や、12月31日の勾留取消請求認容という強者もあった。2年前にできたのなら、今も出来ようものである。
この類いの情報収集は、地元の刑弁系MLでも代替し得るだろうとは言え、情報の精度や活動の熱量においては比べるべくもないだろう。妥協しない高度な弁護実践、情報共有による集合知の形成、それを足がかりとした更なる発展は、愛知刑事弁護塾を運営する主目的であり、見事に機能していると言えよう。

【4】
それにつけても、この事件を10日放置し、「普段通り実質2日以内で判断しよう」と思わなかった裁判官が2名もいる、というのは実におそろしいことである。
くだんの両名は、61期、62期ということなので、経験年数十数年というところか。当初は青雲の志を抱いていたかもしれないが、歳月は残酷というべく、いまやその人権感覚は泥土の如くである。
当然ながら相当強度の矯正教育が必要であろう。一事が万事という。この感覚で令状裁判や単独裁判をやられては、人災が量産されるだけだ。

(弁護士 金岡)