これは他地域の弁護士の実践を教えて頂いたものだが、御許可を頂き公開する次第である。直接的には被告人の尊厳を守るための貴重な実践であり、間接的には、草の根運動的に傍聴人への理解を広めていこうという趣向と理解した。

その方法とは、(腰縄手錠問題が解消されない法廷の)傍聴人に対し、問題状況を説明して被告人の姿態に注目しないよう配慮を求める案内文書を配布するというものである。

その全文は以下の通りであり、名刺大の大きさとのこと。

弁護人が、傍聴人に対し、法廷の入口で1人1人に話しかけることは当然に許されるのだから、その法廷に於いて正に人権侵害が起きている時、それを可能な限り緩和する措置を傍聴人に求めるため、話しかけることに代えて案内文を手渡す。何の問題もない。
裁判所は、弁護人にここまでさせることを、恥ずかしく思うべきだろう。

・・・と書いてはみたものの、なんと岐阜地裁所長は、上記案内文を配布することを施設管理権に基づき禁じたとのことである。同弁護士の報告によれば、「ビラに類するものの配布」を禁じる、との措置を受けたとのこと(2025年1月24日付け)。
人権侵害は放置し、人権擁護を取り締まるという、実に寒々しい輩である。こういう輩に権力を与えるのは、子どもに銃を与えるようなものだろう。

(弁護士 金岡)