本欄でお馴染みの、(裁判員非対象の身柄事件で)弁護人が被告人の隣に着席出来るか問題(SBM)である。
そしてこれは、本欄2024年12月24日の整理手続期日におけるSBM失敗目撃報告(結局、当該事件弁護人は、被告人用の机の前に、つまり同机を挟んで、被告人の前方に着席することとなった)の続行期日報告でもある。
さて、前回目撃報告の通り、坂本裁判長はSBMを拒否し、弁護人はやむなく、前記の通り被告人用の机を挟む形で被告人の前方に着席した。
そのことを踏まえた続行期日で、同じ展開が予想されたが、被告人用の机を挟む形はやはり意思疎通に難があるし、弁護人も机が使えないため期日における弁護活動に支障があるという反省点があり、仮にやむなくSBMが認められない場合、被告人用の机を押しのけて、弁護人は被告人の「膝先」に収まる方略を考えた。この場合、被告人用の机は、以下の図のようになり、被告人と弁護人が共同使用できる。
坂本裁判長は、当初「前回通りで」と難色を示したが、ここは説得が功を奏して、想定した方略が実現した。かくして、「真横」ではないが「膝先」という、まあ意思疎通的には遜色ないところまで格好は付いた。
とはいえ。
そうまでして「真横」を拒否する理由は皆目、理解出来ない。
机を押しのけて「膝先」が良いなら、もう「真横」で良いではないか。
何をそこまで固執するのか、理解に苦しむ。おそらく、このような固執の陰で、問題の本質が被告人の当事者性の回復であり防御権の実効性を可能な限り高めることにある、ということは、忘れ去られているのだろう。
(弁護士 金岡)