よんどころない事情で(つまり身体拘束下に公判を迎えたので)SBMと腰縄手錠を申し立てる必要が生じた、非対象事件(傷害など)についてである。
事前に(といっても当日朝一なので4時間ほど前。これは要反省である。)申立を行い、法廷に行くと、既に裁判体(西前裁判長)はお揃いで、結論、①弁護人の隣席への着席は認めるが、②配慮を要する特別な事情がないので腰縄手錠姿は「晒す」ということになった。
①のSBMについては、少なくとも法廷で見る限り、拘置所職員の意向を確認している様子はなかった。
②については、勿論、異議を申し立てたが、勿論、棄却された。今回は私にしては珍しく推定無罪に言及し、数々の冤罪事件で「晒し」続けてきた歴史に少しでも反省の情を持つなら、恰も罪人ですと晒すような仕打ちは極限まで回避しようとするはずだと論じたのであるが(これをいうと「じゃあ認め事件なら良いのか」と言い出しかねないため、敢えて言わないようにしていることの方が多い)、聞く耳持たずであった。反省の情はなく、総じて責任は重いというべきであろう。
なお、津地裁は建て替え工事がされたばかり(構内接見は新庁舎1号とのこと)で、広々とした綺麗な法廷であったが、法廷と傍聴席を仕切る柵の扉に意匠をあわせた逃走防止装置(法廷側からは押して開けられないようにする装置)が作り付けられる(名古屋地裁は間に合わせの紐で繋がれているのみ)行き届きようである。
その割には「弁護人席前のベンチ」は依然として設置されており、彼/彼女らがどちらを向いて仕事をしているか、窺い知れたのは残念であった。
(弁護士 金岡)