本年12月25日(金)に請求した保釈は無事に認容されたが、案の定、検察官が抗告し、保釈保証金を納付するも執行が停止された。検察抗告は午後7時過ぎのことであったと思われる。

抗告事件が係属した名古屋高裁刑事第2部は、午後9時03分、書記官を通じ、抗告審の判断を週明けに先送りする旨、連絡してきた。少し努力すれば金曜日中に判断できるだろうし、遅くとも土曜日には判断できようところ、月曜まで先送りとは驚きであり、裁判所に折り返し理由を説明するよう求めるも、黙殺され、結局、月曜午後に抗告棄却の判断が示されるまで、裁判所から一切の説明・連絡がなかった。
世上、夕方以降に申し立てられた身柄裁判の(準)抗告審がその日中に判断されることは珍しくない(経験的にも、終電間際に釈放された依頼者は複数いる)し、そうでなくとも土曜日に判断されることは、ままある。釈放が係っている当事者からすれば、月曜より土曜の方がむろん、有り難いのであり、人権的にも、理由もなく月曜日に先送りすることは許されないと思う。(なお、結果的に抗告が棄却されているから、このように言っているわけではない。仮に逆転するとすれば、週明けに逆転されるより、週末に逆転された方が、更なる不服申立に速やかに移行できるという意味でむろん、望ましいのである)

もし、上記論にピンと来ない場合、逆の場合を考えてみるとよいかもしれない。いまなら容疑者を逮捕できる!ということで逮捕状を請求すると、裁判所が「また明日」、と対応することは考えられないし、それで事件が台無しになった日には非難囂々だろう。従って、こういうことはありえないだろうが、まさか、捕まえる方は熱心にやるが釈放の方はそうでもない、とはいわないであろうから、釈放の方も迅速でなければならない。

今回の名古屋高裁刑事第2部の審理方法は、故に、度し難いものである。
金曜の午後7時台、既に裁判官が帰路についており、今更、執務に戻りたくないと言うことは分からなくもないが、他方で保釈保証金まで納付し、一日も早く釈放されたいと望む依頼者や家族もいるわけで、人の収容・釈放を司るという自覚があれば、今更でも何でも、執務に戻るべきであっただろう。まして、土曜日に審理を行わなかった理由は、全く見いだしがたい。
もし裁判官が、金曜土曜と、自分たちの休息を優先させたのだとすれば、このような裁判官は不心得、不適格である。自らの権限の大きさに対する自覚が欠如していよう。他方、正当な理由があっての先送りであれば、それを弁護人に説明できない理由はなかろう。

なんとも後味の悪い(後味で済ませる気は毛頭ないが)出来事であった。

(弁護士 金岡)