過去数年、名大ローの行政法講師を引き受けていたことがある。(白状すると系統立った行政法を学んだことは無く、至って独学ではあるのだが、)理論と実務の双方に一定の蓄積がある実務家はそう多くないだろうと思い、引き受けたものである。自分自身はローの世代では無いが、「実務はこうだ」と教えるだけの教員など必要は無く(そんなことは実務家になれば嫌でも思い知るのだから)、「こうあるべきだから実務家に求められていることはこれだ」と教えられる存在が必要だろうと思っている。

さて、昨夏ころ、知己の弁護士より、名大ローの刑事実務科目の担当を打診された。もとより腕に覚えのある分野であり、実務家である弁護士に求められていることを語るに適任である自負もある、ということでお引き受けした(肩書きは客員准教授)。
前期で4回、教壇に立つ程度のことであるし、実務家の在り方より実務家登用試験の合否に関心を持つ学生にどこまでの影響が与えられるのかは分からないが、折角の機会なので、楽しみたい。

(弁護士 金岡)