関弁連の最新の会報における特集が憲法問題であった。巻頭の言に偽りなく、多様な問題を盛り込んだ意欲的な特集であった。
とりわけ関心を惹いたのは、集団的自衛権がどのように登場したかについて研究した論考である。それによれば、集団的自衛権は、個別的自衛権(「個別的」と冠された経過と表裏をなす問題であるとのことだが、区別のため、敢えてこのように記載する)のように国家に本来的に備わっている機能ではなく、国連の常任理事国に拒否権が与えられたことから、常任理事国と同盟関係にあるような国家が違法行為に出た際に拒否権行使により国連がこれを阻止できない場合に備え、生み出された「鬼子」であるという。
そうだとすると、集団的自衛権は、正しく、戦争に積極的に荷担し先制攻撃をする機能を司るのであり、憲法9条の自衛とは無関係である、と言わざるを得ない。また、このような政治的産物が憲法9条で想定されていようはずもなく、ますます、政府解釈は欺瞞に満ちていると言うことになる。
関弁連会報ともなると、関弁連に参加している関東の単位会会員の、真面目に目を通す限られた層以外には、弁護士の目にも触れるまいが、非常にもったいないと思い、敢えて本欄で取り上げた次第である。

(弁護士 金岡)