接見禁止中のAさんに、弁護士費用の取り立ての用事があり、面会しようと考えた。Aさんが逮捕される前に頼まれた仕事に関する、弁護士費用の支払いが滞っているからである。
弁護士と言えども、「弁護人(+なろうとする者)」での面会(接見)以外は、一般の方と同じく「一般面会」である。
そこで裁判所に接見禁止の一部解除を求め、Aさんの罪証隠滅や逃亡の片棒を担ぐようなことはしないと説明し(いちいち説明しなくても当たり前のことであるが)、一般面会できるようにして貰う必要がある。
一般面会になるからには(施設長裁量による例外はあるが)施設官吏の立会も付される。つまり、面会内容の監視も受け入れようというのである。
ところが、この申立が驚いたことに不許可となった。名古屋地裁刑事第1部B、渡邉健司裁判官である。
ちょっと特殊なこととして、申立まで知らなかったことであるが、Aさんの共犯者に私の依頼者のBさんが加わっており、こちらは同じ地裁刑事第1部でもA係に係属している。つまり裁判官は、共犯者Bの弁護人である私が、Aさんと面会することについて、刑事訴訟法81条にいわゆる逃亡や罪証隠滅を助長する「相当な理由」がある、と判断したことになる。
一般的な解説書を紐解くと、上記「相当な理由」は、「単なる抽象的な危険性ではたりず、確実性までは要求されないが、具体的な資料によって裏付けられた高度の可能性」よりも更に具体的な予見を伴うものでなければならないという。
弁護士である私が、Aさんと企んで、何をしでかすというのか・・想像すること自体、困難である。ましてや、それが施設官吏の面前ですら、「具体的な資料」に基づき、高度に可能性がある、と言われては、唖然の一言に尽きる。
弁護士人生でも五指に入る腹立たしい思いと共に、90分で国賠訴状を書き上げた。
冗談でも「不徳の致すところ」等と笑えるものではない。
渡邉健司裁判官から、一体どのような具体的資料に基づき、私が刑訴法81条違反を敢行する高度の可能性があると判断したのか、詳らかにさせなければならない。
そして、全く心当たりのないこのような誹謗中傷を行う渡邉健司裁判官の裁判は、今後、断固拒否していくことになろう。
(弁護士 金岡)