本欄本年6月3日付けで「『3桁万円持って来い』から始まる事務所に電話してしまったものの、高額故に依頼できず、ネット検索で当事務所に辿り着いたという。予定を差し替えて3時間ほど確保し、まずは主導的に進められる見通しが付いたところである。」という在宅案件を紹介した。
どう「主導的」かというと、高確率で「罪とならず」であろうと踏み、受任日に此方から依頼者の陳述書を取り纏めて捜査機関に提出し、がっちりとした路線に乗せたのである。事案を選ぶが、依頼者も自信を持って捜査機関と対峙できるようになるし、自白強要への防止策としても優秀である。実践的な方法の一つと言える。
書類送検後、検察官に「取調べも要らないだろうから、すぐに不起訴に」という申し入れを行ったところ、2週間で取調べ要請も無く不起訴通知が届いた。
立件自体が間違っていたと言えよう。
在宅事件にせよ身柄事件にせよ、初動は文字通り生命線、ということである。
(弁護士 金岡)