(問題)
警察官甲は、警察官乙と丙が巻き尺を用いて測定した、物体A~Hのそれぞれの長さが読み上げられる都度、これをメモし、捜査報告書にまとめた。警察官甲は、A~Hの長さが測定される際、巻き尺をのぞき込むこともあったが、のぞき込まないこともあり、どの物体の測定時にのぞき込んだかは、特定できない。
このような警察官甲が、物体A~Hの長さを立証趣旨として、測定にかかる数値を証言することは許されるか。

(盛岡地裁刑事部合議体の回答)
許される。

・・伝聞法則を知っていさえすれば、100人が100人とも、「許されない」と答えると思うのだが、なんとも驚天動地の証拠判断であった。「現場に行かず電話で長さの報告を受けた警察官丁」(というのがいたとして)と全く同じ立場の、測定結果を又聞きしたに過ぎない甲が、上記証言をすることが許されるという発想はどこから出てくるのだろうか。敢えてひねった考え方をしても無理がある。
刑事訴訟法の初歩すら覚束なくとも刑事裁判がやれるとは、世も末である。

(弁護士 金岡)